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低迷脱出に向けた革新を迫られる日本企業

2015/5/29 9:48:38   source:人民網日本語版

  IC、ソフト、インターネット、モバイルネットワークの国際規格争いに「4連敗」

  富士通など日本の携帯端末メーカーはこのほど、独自の基本ソフト(OS)を搭載した従来型の携帯電話(いわゆる「ガラケー」)の生産を2017年以降中止することを決めた。今後開発する全端末のOSは、米グーグル社のアンドロイドに統一する。スマートフォンが広く普及していることから、日本だけの特殊な「ガラケー」の研究開発費の負担が、各メーカーにとって重荷となっていた。人民日報が報じた。

  日本の各メディアは、今回の決定について、「日本のガラケー開発時代が集団で幕を閉じる」と評している。携帯電話の生産も、日本の製造業における創造力低下の縮図のひとつとなった。

  日本テレコムは1999年、移動端末によるインターネット接続サービス「iモード」を世界に先駆け打ち出した。日本は一時期、モバイルネットワーク発展の主要指標において、世界を5年から8年リードしていた。だが、その後10年も経たないうちにスマホ時代が到来、敗者に転じることを余儀なくされた。日本ブランドの携帯電話は世界売上トップ3からはじき出されただけではなく、スマホの普及でも遅れを取った。総務省の「情報通信白書」によると、2014年3月の時点で、日本におけるスマホの個人所有率は53.3%にとどまり、韓国の90%を大幅に下回った。

  一橋大学の鷲田祐一准教授は、著書「イノベーションの誤解」において、「1980年代後半以降、日本の製造業は、IC、ソフトウェア、インターネット、モバイル・ネットワークの国際規格争いに置いて、『四連敗』を喫した」と書いている。

  〇イノベーションに向け尽力するも市場からドロップアウト

  1980年代以降、コストダウンの必要性に迫られた日本企業は、続々と生産拠点を海外にシフト、研究開発センターだけを日本に残した。これにより、日本は技術開発と市場開拓の面でドロップアウトする結果となった。鷲田氏はこのような現象を「ユーザー不在のイノベーション」と称した。

  学術界は、「ガラパゴス・シンドローム」と名付け、日本のイノベーションの失敗を評した。太平洋上の群島「ガラパゴス」に生息する生物は、陸から隔離されているため、独自の進化を遂げ、外来種の襲撃に対する抵抗力が低い。革新的な「孤島」現象は、「匠の技」の職人精神に対する崇拝に支えられていた。職人精神はたゆまぬ向上と、自己超越を追い求めてきたが、あまりにも内部に向かう形で発展を続けたため、保守傾向が高じ、進取の精神がなくなった。

  日本企業は「改良式」イノベーションを得意とし、機能の細分化に固執したため、「革命的」イノベーションの要素に不足した。日本の家電製品は優秀だが、機能は多すぎて、価格も高い。たとえば、日本製電子レンジは通常、数十種類の調理メニューが設計されているが、多くの消費者が日常使うのは、そのうちせいぜい4種類くらいだ。さらに、日本は1億を超える人口を備えた成熟した市場を擁し、消費者の中には国産愛好者が多く、価格はいささか高くとも受け入れられる。日本企業は、国内市場のニーズを満たすことができれば、それで十分なのだ。多くの日本企業は、海外を「労働力の安い生産基地」と見做しているだけで現地の市場ニーズを入念に研究することをしない。新興市場における「高機能は不要、価格は半額」という消費者ニーズに向き合った時、日本ブランドの競争力は大きく後退する。

  実際、現在もなお、日本はスマホ産業チェーンの「隠れた王者」の地位を保っている。米アップルや韓国サムスンなど各携帯ブランド大手の画面やカメラなどの核心部品は、ほとんどが日本のメーカーが提供している。ユーザーのニーズを十分把握できなかったことが原因で、日本はついに、技術面での優位性を、ユーザーに歓迎される最終製品に転化することができなかったのだ。

  鷲田氏は、「ネットワーク時代のイノベーションは、技術開発主導型から、ユーザー需要主導型へとシフトした。企業は、『優れた技術さえあれば、市場の勝ち組になれる』ことを過信してはならない」との見方を示している。

  〇「大企業病」で行動が後手後手に

  三洋電機は今年3月、日本国内で最後に残った子会社を投資ファンドに売却、かつての家電大手は歴史の舞台からひっそりと姿を消した。

  三洋電機の敗因は、「年功序列・低効率」という日本特有の「大企業病」にある。大企業では、各部門がそれぞれ、一生けん命に仕事をしているように見えるが、管理の節目が多すぎて、部門間の連携が少なく、最終的に責任を負う人がいない。また、情報が最終意思決定者に伝わるまでの時間があまりにも長いことから、「時すでに遅し」というケースが多い。

  ハイアールは2012年、それまで長く赤字続きだった三洋電機の白物家電業務を買収、2014年財務年度に初めて黒字転換させた。ハイアールアジア株式会社広報部の森田純部長は、「三洋電機の白物家電部門は3万人の従業員を擁していた時期がある。ひとつのアイディアの提出から決定までに、10プロセス以上の手続きを経なければならない。良いアイディアであっても、このような長いルートを辿らなければならないため、優れた角が全て摩耗して平らになってしまう」と指摘した。現在、ハイアールアジアR&D(研究開発部門)では、部門と部門を隔離していた壁は取り除かれ、会圧プロセスは短縮化され、どんなアイディアも、生まれたら即座に伝えられ、練り上げられ、速やかに商品化することが可能となった。

  〇年功序列のもとでは、あえてリスクを取りたくない

  安永竜夫氏(54)がこのほど、三井物産社長に就任、日本の各メディアから「異例の若さでのサプライズ就任」と報じられた。記者がこれまでに中日企業家の交流活動に幾度も参加した経験から、「同じ役職の場合、中国人の平均年齢は日本人より10歳以上若い」という事実を発見した。

  1960年代から70年代にかけて、日本では、松下幸之助氏ら傑出した企業が多く登場した。現在、一群体としての日本人企業家の国際的影響力は、以前ほどではない。今の日本で最も有名な日本人企業家・孫正義氏は、在日韓国人であり、かつての日本ビジネス界のトップとは異なった趣がある。

  日本の若者の留学願望や創業願望は、他国の同年代の人々よりはるかに低い。経済成長期、日本企業は軒並み、熟練労働者を他社に引き抜かれないように「終身雇用制」を導入した。「年功序列」のもと、勤続年数が長くなればなるほど給料が上がる。大企業で安定した仕事に就くことを願う若者たちは、あえて創業のリスクを背負いたくないのだ。

  鷲田氏は、「科学的な問題は、とどのつまりは人間の問題に帰着する。イノベーション精神を持ち、能力に溢れた若者を育成するためには、国際論文誌でどれだけ多くの論文を発表するかに着目するのではなく、市場を通した技術と人間との対話を確立することが必要だ」と指摘した。

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