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もはや時代遅れの「男尊女卑」 「女の子を持つ親の方が幸せ」か?

2015/6/18 14:14:53   source:人民網日本語版

  伝統的な考え方では、中国人家庭の多くは、男の子の誕生を願う。だが、「南京財経大学がこのほど開催した経済学フォーラムにおいて、子供の性別と両親の幸福感に関する研究が注目を集めた。同研究から、男の子を持つ家庭において、その子が17歳から30歳までの時期の両親の幸福感は、女の子を持つ親より低いことが明らかになった。なかでも、住宅価格が上昇の一途をたどる都市部では、この傾向が激しくなっている。新華社が報じた。

  〇娘を持った方がより幸せ?

  「ニューエコノミー時代における子供の性別と両親の幸福感」と題する研究論文の筆者のひとり、中国人民大学経済学部の陸方文・准教授は、次の通り指摘した。

  「我々の研究は、国内72の地級市に住む4309世帯を対象としたサンプリング調査の結果を分析したもので、個人の幸福感レベル、子供の数・性別・年齢、教育・所得・健康状況をめぐる調査を実施した。調査の結果、子供が幼児および小・中・高等学校段階にある時は、子供の性別が両親の幸福感に大きく影響することはないことが判明した。しかし、子供が17歳から30歳の期間は、男の子を持つ親の幸福感は著しく下がる」

  この研究の結論と、「男尊女卑」「老後は子供に養ってもらう」といった伝統的な観念とは、まったく一致していない。中国の伝統的な家庭から見ると、男の子の跡継ぎの有り無し、跡継ぎとなり得る男の子の数、跡継ぎとなる男の子の将来性などは、一族におけるその家庭の地位や誇りに直接影響を及ぼす。「子供は多ければ多いほど良い」という考え方は、このような伝統をまざまざと反映している。

  「だが、新中国の成立に伴い、特に改革開放以降、伝統的な郷土社会はだんだんと衰退し、家族というネットワークに対する政府や社会の働きかけによって、子供の性別の重要性は軽んじられる傾向になった。それにつれて、男の子の跡継ぎという存在が家族にもたらす幸福感も、徐々に低下した。中国人の幸福感は、もはや子供の性別に左右されなくなり、家庭以外の要因が決め手となるように変わってきたとも言える」と陸准教授は指摘した。

  さらに注目すべきは、男女比のアンバランスが顕著化するに伴い、男性の過剰が、結婚市場での男性同士の競争激化を招き、男性側の結婚コストの上昇を招いたことだ。このコストは、男の子の親を襲い、経済的負担を大きくした。このような状況から、男の子を持つ親の幸福感が落ち込むこととなった。

  分析の結果、比較的高齢の親の方が、息子がもたらす幸福感が低いことが判明した。「これは、娘の方が息子より親に対して思いやりが深いことを示すだけではなく、『老後は子供に養ってもらう』という従来の子供の役目が、今の時代にはもはや通用しなくなったことの表れだ。調査によると、娘と同居する親の方が、息子との同居より多い」と陸准教授は説明した。

  〇「住宅価格の高騰」が諸悪の根源?

  調査によると、子供が24歳から30歳までの期間、男の子を持つ親の幸福感が女の子の親より大幅に下がっている。陸准教授はこれについて、次の通り分析した。

  最大の原因は、住宅価格による圧力だ。子供が小さい頃は、子供の性別は両親に何ら影響を及ぼすことはない。時代の変化とともに、「男尊女卑」の考え方はもはや過去の遺物となった。だが、子供が24歳から30歳という結婚・出産適齢期に入ると、「新婚夫婦の住居は男性側が準備するもの」という従来の結婚観がはびこってくる。ここ数年、住宅価格がかなり高い状態が続いていることから、この年齢層を持つ子供の親は、現実的な経済的圧力に直面することになる。

  住宅価格が高い都市ほど、男の子の親の幸福感が低いことが、調査から明らかになっている。この状況は、息子の就学・就職・結婚・出産などの面で、親がより焦燥感を高めている現れといえよう。

  陸准教授は、「私はずっと、幸福感に関するテーマの研究を続けてきた。これまで、子供の性別と両親の幸福感との関係について、学界での統一見解は存在しなかった。今回発表した研究成果が伝統的観念に衝撃をもたらすことは間違いない。誰もが、個人の幸福感に関心を持っており、幸福な人生を歩みたいと思っていることが、調査の結果明らかになった。しかし同時に、都市の高い住宅価格が大きな頭痛の種になっている現状も浮き彫りなった」とコメントした。

  〇この研究結果から、「息子より娘を生んだ方が良い」という結論には至らない

  女の子を持つ親の方が、男の子の親より果たして幸福なのだろうか?ネットユーザ―の中には、反対意見の人もいる。ある人は、「幸福感を引き下げている犯人は、高すぎる住宅価格だ。話のポイントが、なぜ男の子を持つVS女の子を持つ、という横道に逸れたのだろう?1男1女をもうけた場合は、どう説明するのだろう?」とコメントした。

  陸准教授は、この問題について、次のとおり指摘した。

  「息子より娘を生んだ方が良い」というのは、全く誤った解釈だ。この調査から、そのような結論を導き出すことはできない。実のところ、新婚カップルが新居を購入する際の圧力は、家庭によって各種各様で、男の子の親の家庭に経済力があれば、この圧力はほとんどない、あるいは全くゼロだ。

  また、新たな結婚観が社会に受け入れられるにつれ、多くの若者が、ともに協力して新居を購入する傾向が高まっており、各家庭間の相違はだんだんと縮まっているのかもしれない。

  「男尊女卑」「女尊男卑」はいずれも、取るに足らない考え方である。これまでの研究から、幸福感は、所得や価格などの経済的要因のみならず、年齢・性別・学歴・環境・健康状態などさまざまな要素の影響を受けている。子供の性別と親の幸福感の間に、決して単純な等式は成り立たない。

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