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「万引き家族」の是枝裕和監督 「賈樟柯監督と映画についてよく語り合う」

2018/6/27 11:22:27   source:人民網日本語版

  今月23日、上海国際映画祭で日本映画「万引き家族」が上映された。同映画祭における最終上映作品ということもあり、映画館の上海影城には、早朝から大勢の人が押し寄せた。上映後、是枝裕和監督や女優の松岡茉優、城桧吏(じょう・かいり)ら出演者が登壇し、ファンと交流した。羊城晩報が報じた。

  「万引き家族」は5月に行われた第71回カンヌ国際映画祭において、最高賞であるパルム・ドールを獲得した。そして、今月8日に日本で公開されて間もなく同映画祭でも上映されるとあり、チケットは高額で取引された。

  あたたかいムードの背後に残酷な現実

  「万引き家族」は、東京の下町に暮らす、日雇い仕事の父・柴田治とクリーニング店で働く治の妻・信代、息子・祥太、風俗店で働く信代の妹・亜紀、そして家主である祖母・初枝の5人家族の物語。是枝裕和監督の作品を何度も見たことがある人なら、「誰も知らない」(2004年)や「そして父になる」(13年)などと同じ雰囲気を感じたことだろう。初枝(樹木希林)、治(中川雅也)、信代(安藤サクラ)、亜紀(松岡茉優)、祥太(城桧吏)は東京の狭いおんぼろの家に住み、家族の収入源は初枝の年金だった。そして、年金では足りなくなると、治と祥太は「万引き」を行い、なんとか暮らしていた。5人は社会の底辺で暮らしながらも笑顔が絶えなかった。冬のある日、近所の団地の廊下に一人の幼い女の子・ゆり(佐々木ゆみ)が震えているのを治と祥太が見つけ、見かねて連れて帰り、女の子は柴田家の6人目の家族となった。しかし、ある日、柴田家にある事件が起こり、家族はバラバラに引き裂かれてしまう。

  最初の約1時間はあたたかい雰囲気で物語が展開されるのに対して、最後の30分で家族のそれぞれの秘密と願いが次々に明らかになっていき、前半とは対照的なムードが漂う。血縁イコール健全な親子関係なのだろうか?家族であれば必ず愛でつながっているのだろうか?是枝裕和監督のこれまでの作品と同じく、「万引き家族」にもアットホームな雰囲気が漂うものの、そのテーマは非常に鋭く、その背後では残酷な現実も描かれている。そのため、鑑賞後は、鉛を飲み込んだような重苦しい気分にさせられる。

  「物語のテーマで作風は決まる」

  上映後、是枝監督や松岡茉優、城桧吏らが登壇すると、会場は大きな声援と拍手で包まれた。中国の黄建新監督も特別に北京から駆け付け、鑑賞後登壇して是枝監督に質問を投げかけた。黄監督が、「是枝裕和監督の作品は全て見ている。監督がどのようにして独特な作風を確立したのか、とても興味がある」と話すと、是枝監督は、「僕は自分の作風について考えたことはない。テーマや内容に基づいて、どんな作風にするか、どのように撮影するかを決める。どのように撮影するかは自然と決まる」とし、さらに、「撮影の時、役者の感情をどのように引き出すかを一層重視するようになっている。それを映像で伝え、役者の演技で映画全体を引っ張ってもらうようにしている」と語った。

  是枝監督は、「大学生の頃、張芸謀(チャン・イーモウ)監督や陳凱歌(チェン・カイコー)監督の作品が日本でブームになった。個人的には、台湾地区の侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督と楊徳昌(エドワード・ヤン)監督の作品との出会いを通して、自分も映画を撮りたいと強く思うようになった。映画を撮り始めてから、賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督と仲良くなり、お互いに今どんなものを作るべきなのか、映画とどんな風に向き合うべきなのか、自分が生まれ育った土地や人々からどうモチーフを見つけていくのかなど多くのことを学んでいる。同世代に優れた監督を持つということは作り手として財産であるといえ、そのような関係を日本と中国の監督や役者たちが深く長く持てればいいなと思う」と語った。

  松岡茉優は、是枝監督の作品に出演したことについて、「前後左右を見ると、中川さん、安藤さん、さらに大先輩の樹木希林さんがいて、初めはとてもプレッシャーに感じていた。でも、撮影を通して、キャストのみなさんと親密な時間を過ごしていたら、本当の家族のようになっていったし、大女優の樹木希林さんの隣に座れるようにもなったし、本当にあの時間は家族そのものだった」と振り返り、ファンから「今後一番演じたい役は?」と聞かれると、「是枝監督に、また使ってもらえること」と話した。(編集KN)

  「人民網日本語版」2018年6月27日

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