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日本が年金支給年齢また引き上げ 根本的解決ではない

2018/9/25 10:11:41   source:人民網日本語版

  日本では平均寿命が延びるに従い、年金の負担が深刻化している。年金財政の圧力を緩和し、年金制度の持続可能性を保証するため、日本政府は支給開始年齢の引き上げを検討しており、定年延長も奨励する。年金受給を遅らせれば国の年金財政の維持が困難という状況をある程度緩和することにはなるが、根本的な問題の解決にはならない。「経済日報」が伝えた。

  日本の総務省がこのほど発表した最新のデータによると、日本は65歳以上の高齢者が昨年より44万人増加して3557万人に達し、総人口に占める割合は28.1%になった。日本の過去最高を更新しただけでなく、世界でも最高記録となった。統計分析によれば、日本は70歳以上の高齢者の割合が20.7%、80歳以上が8.7%、90歳以上が2年連続で200万人を超えて1.7%を占め、100歳以上も6万9785人を数えるという。

  家に老人がいるのは宝物があるのと同じ、というように、これまでは老人の存在は幸せで仲がよいことの象徴とされていたが、ここ数年、高齢社会を迎えた日本は重い年金負担という深刻な問題に苦しんでいる。年金財政の圧力を緩和し、年金制度の持続可能性を保証するため、日本政府は支給開始年齢の引き上げを検討している。

  1970年代初め、日本は年金や健康保険などの社会保障制度を全面的に確立し、「国民皆保険制度」を実現し、当初の規定では55歳になると年金を受給することができた。だが日本人の健康寿命が延び、年金保険料を納める労働力人口が減少するにつれて、年金負担がどんどん重くなり、定年もじりじりと延びていった。支給開始年齢の段階的引き上げも進められている。具体的な引き上げ方法をみると、1953年生まれの人から2歳ごとに支給開始年齢を1年引き上げ、61年以降に生まれた人は65歳まで受給できなくなり、最終的に2025年以降はすべての人が65歳にならなければ受給できなくなるというものだ。これと平行して、日本の国会では13年4月に「改正高年齢者雇用安定法」が成立し、労働者自身が希望した場合、企業に65歳までの継続雇用を義務づけ、給与や待遇などの労働条件については別に定めるとした。

  最新の統計によれば、日本の高年齢労働者は807万人に達して就業者の12.4%を占め、65~69歳の人の43%が引き続き働き、70歳以上では15%が働く。だが高年齢労働者の収入の低さ、待遇の悪さは新たな社会問題になっている。その4分の3は派遣労働者やパートなどの非正規労働者であり、収入は正社員の3分の1から2分の1しかない。

  それでもやはり日本の年金負担は重い。国立社会保障・人口問題研究所の試算によれば、出生率の低下や平均寿命の延びなどの要因により、40年には65歳以上の高齢者が人口の35.5%を占めるようになる。これと同時に、15~64歳の労働力人口が減少を続け、15年の7728万人が25年は7170万人に減り、65年にはわずか4529万人になるという。日本人の年金への不安はますます高まり、東京にある生命保険会社の調査によれば、20~50歳で自分の老後の暮らしに不安を感じる人は80%を超え、40~50歳では88%、30~50歳では86%、20~30歳の若い世代でも83%に上った。最も心配なのは、年金が十分ではないことだという。

  日本の年金は基礎年金と厚生年金の2階建てだ。基礎年金は国民年金とも呼ばれ、満20歳から65歳までの国民は全員加入しなければならず、自営業者や自由業者の基本的な生活を保障する。厚生年金は国民保険を土台として設定された一種の付加年金であり、加入対象者は企業の社員、公務員などのサラリーマンに限られ、保険料は政府、企業、個人が共同で負担する。加入率が最も高い厚生年金の場合、現在の保険料率は年収の18.3%で、これを個人と企業が半分ずつ負担する。退職すると平均月収の63%が支給される。

  日本では年金は65歳から受給できると規定するが、個人の事情に応じて受給を遅らせても構わない。最も遅い場合は70歳まで遅らせることができ、幅のある指標となっている。受給開始を1ヶ月遅らせれば、受け取る年金が0.7%増える。70歳からの受給にすれば、毎月の受給額は42%増加する。ここ数年、日本政府は定年のさらなる延長を奨励し、年金をめぐる時間的な幅を拡大している。今年2月に閣議決定された「高齢社会対策大綱」はこうした構想を初めて打ち出し、その後、厚生労働省社会保障審議会は関連法案の改定の検討を始め、このほど自民党総裁選挙に立候補した安倍晋三首相は、今後3年以内に70歳を過ぎて受給開始年齢を遅らせる場合の優遇措置を打ち出すとした。

  こうした動きに対し、日本社会にはさまざまな意見がある。受給を遅らせれば国の年金財源不足はある程度緩和されるが、問題の根本的な解決にはならない。一方で、高齢者の暮らしは収入源が限られ、年金しか頼るものはない。現在、自主的に受給開始年齢を引き上げた人は1.2%にとどまり、政策の効果ははっきりしない。国民は受給開始年齢が強制的に引き上げられることを心配しており、新たな社会不安を引き起こす可能性がある。また一方で、財源を拡大して社会保険機関の収入を増やすことこそが、年金問題の根本的な解決方法だ。ここ数年、若い人の間で、特に若い自由業者の間で、年金制度への不信から保険料の支払いを拒否するケースがしばしばみられるようになった。同時に、日本政府は行政、教育、防衛など各項目の発展のバランスが大事として、年金への国家財政による支援の拡大には慎重だ。

  日本総合研究所(日本総研)の西沢和彦主席研究員は、「政府は労働改革を真に推進して、非正規労働者の、とりわけ若い非正規労働者の収入の不安定さの問題を解決し、年金の構造の問題を根本的に解決しなければならない」と指摘する。

  「人民網日本語版」2018年9月21日

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