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生涯現役社会を目指す日本、高齢者が有意義に暮らせる社会とは?

2018/10/16 9:15:13   source:人民網日本語版

  日本の安倍晋三首相はこのほど、「全世代型の社会保障改革」を打ち出し、年金の受給開始年齢を70歳にまで引き上げ、65歳を超えても働くことができる企業を増やすため、全国の約12万社を対象に、定年制の撤廃や再雇用年齢の引き上げといった対応を呼びかけることを決めた。さらに、税金負担を軽減するため「定年制の廃止」を視野に入れた議論を進めて、「生涯現役社会」を目指すという。日本メディアは、同改革が1-2年後から実施されるのではないかと予想している。

  高齢化問題に直面しているのは日本だけではない。米国のジャーナリストでスタンフォード大学長寿研究センターの訪問学者・テッド・C.フィッシュマン氏は、北京で「Shock of Gray」というテーマの講座を行い、「高齢化の議論は、高齢者をめぐる議論というだけでなく、全世界、全社会が向かい合うべき問題でもある」との見方を示した。フィッシュマン氏は、米国や日本、スペイン、中国の数都市に足を運び、企業の従業員や雇用主、経済学者、当局者、医療スタッフ、一般人など100人ほどに取材し、こうした人々の生き生きとした物語を「Shock of Gray」という本にまとめた。

  理想的な老後の過ごし方とは?

  中国は高齢化社会という現実に直面しており、今後も中国の若い夫婦はそれぞれの両親合わせて4人と、自分の子供少なくとも1人を養わなければならないという状況に直面し続けるだけでなく、過疎化問題により、高齢者が田舎で一人暮らしをし、誰からも世話してもらえないという問題も続くだろう。そのような一人っ子の男女とその親にとって理想的な老後の過ごし方はないのだろうか?

  その点について、フィッシュマン氏は、「難しい問題だが、他の国の例を参考にできるかもしれない。私たちは高齢者が子供と遠く離れて住んでいる場所を『自然に形成された高齢者コミュニティ』と呼んでいる。私が一番印象深かった解決策の一つは、高齢者がコミュニティを形成し、必要なサービスをシェアし合うという方法だ。高齢者が集まって、共に、必要な医療、健康、野菜、果物、飲み物、食べ物、レクリエーションなどをカバーし合うのだ。米国ではそのような方法が、『村落スタイル』と呼ばれ、たくさんのメリットがある。まず、貧しい人と多くの経済的利益を共有できる。次に、コミュニティがあるため高齢者が孤立せずにすむ。このようなスタイルはとても成功しているように感じる。中国には相応のインフラが既にあり、公共資源、個人の資源、ボランティアを正しく組み合わせるだけで、実現できる」との見方を示す。

  中国では、農村の高齢化と都市の高齢化が実は全く異なる問題となっている。農村の多くの人が都市に出稼ぎして、介護などの仕事をしている。一方、一線都市の住民は往々にしてその種の仕事をしたがらない。世界各地では、シルバー事業に携わっている人は、二つのケースに分かれている。一つは、大家族を養うために、お金を家や子供に送っているというケース。もう一つは、親の介護のために仕事を辞めた後に、元の仕事に戻りたいと希望しているものの、必要な技術や人脈などが変化していて戻ることができないが、すでに高齢者介護のエキスパートとしての条件を備えており、医療問題の処理の仕方や高齢者との意思の疎通に長けるようになっているため、その仕事に携わるようになったというケースだ。米国で介護の仕事に携わっている人の多くは、自分の親の介護をし、親が亡くなった後に、他の家庭の高齢者の介護をしてお金を稼いでいる。これは、中国においては、実際には大きなビジネスチャンスとなる。

  老後の生活を有意義にし、孤独にならない方法は?

  多くの人は仕事をしている時は退職後の生活について考えるものの、実際に退職すると、とても孤独だという人も多い。中国では特にそのような男性が多い。そうしたケースの原因は何なのだろうか?

  それについて、フィッシュマン氏は、「その問題は、私が今研究している、『友情』というテーマと密接な関係がある。私は老衰というテーマを研究した後、友情についても深く考えるようになった。家庭という小さな世界では、友情がとても重要になる。何人家族かを自分で決めることはできないが、どれだけの友人を作るかは自分で決めることができる。一生関係が続く友人というのは少ないかもしれないが、友人関係は誰にとっても必要なものだ。実際には、友情というのは、社会にとっても一つのテーマであり、社会は多くの人がつながりやすい環境を創り出すべきだ。また、学校も友情を育むようサポートすべきだ」と指摘する。

  孤独な男性という問題は確かに存在する。年配の男性は退職すると、友人とのつながりがなくなりやすい。その点で女性は、仕事関係以外でつながる友人のネットワークがあるため、退職後も有意義な生活を送ることが容易だ。ただ、友人が少ない男性は、自分から「寂しい」とは言いだしにくいものだ。病気になっても、あまり知られたくないため、友人に電話をかけるのをためらうという場合もある。これは、文化的タブーであって特に東アジアでよく見られる。もし、病気がうつ病などの精神疾患である場合、事態はさらに深刻になる。日本には青木ヶ原という自殺の名所があり、おそらく退職して病気になったり、孤独を感じたりした男性がそこで自殺するというケースが多発している。孤独という問題は、中国だけでなく、世界中に存在している。

  最も重要なのは、2つの面における人々の意識だ。その1つは、孤独を解消するために努力すること。これは、近所の人同士で声を掛け合うなど簡単に行うことができる。2つ目は、精神疾患も病気の一種であるという意識だ。恥ずかしさから、それを悪化させてはならない。また、高齢者ができるだけ仕事を続けるというのも重要で、退職する時期をおそくすることも必要だ。

  「人民網日本語版」2018年10月15 日

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