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インド太平洋戦略、アジアの同盟国をまとめられず

2019/8/12 8:44:50   source:チャイナネット

  アジア訪問中のエスパー米国防長官(新任)は7日に日本の訪問を終了したが、米国主導の中東・ホルムズ海峡の護衛航行に関する「有志連合」構想などについて、日本から積極的な回答は得られなかった。就任からわずか2週間のエスパー氏は、同盟国の日本から初対面の贈り物を貰えるかと思っていたが、出鼻をくじかれる形となった。

  マティス氏とエスパー氏を見ると、米国防長官が最初の外遊先としてアジア太平洋を選ぶことが慣例になっている。これはトランプ政権が推進してきた「インド太平洋戦略」の流れを汲む。今回の新任の国防長官によるアジア歴訪には、次の3つの目的がある。(1)アジアの同盟国との関係を強化し、同盟国である日韓の対立を弱め、アジア太平洋の同盟国に対する米国の重視を示す。(2)インド太平洋戦略によっていわゆる「中国の脅威」に対応すると引き続き吹聴し、同盟国が一致して中国に対抗するよう促し、米国の大戦略の展開に役立てる。(3)朝鮮半島問題、イラン核問題、アジアでの中距離弾道ミサイルの配備について、同盟国から支持を集める。さらに注目すべきは、中米貿易摩擦が激化するなか、エスパー氏が今回のアジア歴訪で実際の行動により、トランプ大統領に「忠誠心」を示そうとしたことだ。安全面でトランプ氏の経済貿易の圧力に呼応するという下心も隠されている。

  ところが今回の訪問の効果を見ると、米国のアジア太平洋の同盟国は、このトランプ政権のインド太平洋戦略を実行しようとする新任の国防長官を支持していない。外交のリップサービスのほか、ほとんど成果が得られなかった。特に同盟国は中距離弾道ミサイルの配備について強い警戒心を示した。豪防衛相は4日、この可能性を明確に否定した。今回の歴訪は、米国が推進してきたインド太平洋戦略の3つの問題を浮き彫りにした。

  まず、中国を戦略的な競争相手とし、「一帯一路」をけん制の標的とすることで、インド太平洋戦略を米国の「冷戦ツール」に貶めている。米国の新たな「国家安全保障戦略」と米国防総省が2019年に発表した「インド太平洋戦略報告」は、インド太平洋戦略を中国の台頭をけん制し、中国の地政学的影響力を相殺するためのツールとして明記している。インド太平洋戦略は事実上、米国による寄せ集めの「対中連盟」であり、米国が中米関係において自陣営と敵陣営を分けるために引く境界線になっている。アジアは近年の平和的な発展により台頭しており、アジア諸国は中国とも米国とも良好な関係を持ち、両国との協力から利益を手にしようとしている。中米の対抗においてどちらかに肩入れしようとする国はなく、米国の「対中戦車」に乗ろうとする国もない。

  次に、インド太平洋戦略は事実上、米国が同盟関係を統合し、米国の覇権の基礎を固め、アジア太平洋の安全支配権を拡大するための戦略的ツールだ。米国は表面的にインドなどの国を抱き込み中国をけん制しているが、実際にはインド太平洋戦略により地域の覇権を再構築しようとしている(南アジアや中東への覇権も含まれる)。インドを例とすると、インドの戦略界は米国がインド太平洋戦略を利用し、インド洋における影響力と支配力を拡大・強化することを警戒している。米国を利用すると同時に、米国に利用されることを極力回避しようとしている。米国の有志連合の構想には事実上、インド太平洋戦略に役立てるという下心がある。これはインド太平洋戦略が、米国が自由気ままに使用し、その他の地域諸国に対抗する口実でしかないことを証明している。

  それから、インド太平洋戦略は口ばかりで実益を伴わない空虚な戦略だ。利己的な米政府を前にし、各国はこの戦略への期待と幻想を失っている。トランプ政権は発足後「米国ファースト」を高々と掲げ、対外政策を全面的に調整し、他国による便乗を拒否している。同盟国に米軍駐留の負担を拡大するよう求め、より大きな安全の責任を担うよう圧力をかけているが、同盟国のためにより多くの義務を担おうとはしていない。米国は自国の利益を拡大するため、同盟国の利益を犠牲にすることも惜しまない。アジア太平洋リバランスからインド太平洋戦略に変わったが、米政府の同地域に対する戦略的な取り組みは実質的に増加していない。ところが経済貿易などの問題をめぐり、日韓は米国の同盟国という立場から、米政府に睨みを利かされている。

  米国の同盟国は事実上、米国の現政権の外交を見極めている。瓜を植えれば瓜がなるが、米国が詐術によって手にするのも他国の詐術に過ぎない。(筆者・董春嶺 中国現代国際関係研究院米国研究所の学者)

  「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年8月9日

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